「御心が行われることを喜ぶ」

A. ロボットコンテスト提案のきっかけ

 東京工業大学名誉教授の森政弘さんは、大学の講義を聴く学生たちに活気がないのを見て、授業中、学生たちにロボットを作らせてみました。とたんに彼らの目が輝き出し、教授は「物」が持つ力に感心し、世界各地で行われる「ロボットコンテスト」を提案したといいます。
 礼拝でのメッセージにおいて、聴衆を生き生きとさせる「物」に値(あたい)するのが、クリスチャンたちの実例です。信仰を実践したクリスチャンたちの生き方を知ることで、信仰生活は活気づくのです。
 信仰を実践する弟子たちの願いは、御心が行われることでした。

B.聖書より

パウロがわたしたちの勧めを聞き入れようとしないので、わたしたちは、「主の御心が行われますように」と言って、口をつぐんだ。使徒言行録21章14節
 エルサレムへ伝道に行くと迫害されると予言されたパウロを、ルカとその地方の信仰の兄弟たちは、人情からしきりに引きとめようとしました。しかし、「主イエスの名のためならば、エルサレムで縛られることばかりか死ぬことさえも、わたしは覚悟しているのです。」と強い意志で言いました。初めは迷った彼らも、パウロの決心を聞くと、いっさいを神さまの御心にゆだねました。人間のあさはかな計画よりも、神さまに信頼して進む方が、物事が最善になることを知っていたからです。「御心」とは、人々の魂が救われるための業です。

C. キリストの専属作家でありたい 森岡憲治さん

 森岡 憲治さん(八王子市在住、単立・久遠キリスト教会員)は、画家として40年間仕事を続けています。現在はフリーとなり、信仰をテーマにした作品も数多く描いています。信仰を持つ前は、自分の力だけに頼って描こうとしていたため、作品が描けない時は、酒に逃げていたといいます。タバコも一日に60本程吸って、昼と夜とが逆の不規則な生活も重なり、胸、肝臓、腎臓、胃、十二指腸等、内臓の殆どが悪くなってしまいました。病気を通して、体の弱さを示され、仕事を通して、力不足の自分を知らされ、身内の不幸を通して、自分の無力さを教えられました。自分の無力さ、弱さ、罪を犯すことしかない自分を認めた時、神さまとの出会いがありました。全知全能で、永遠なる神様にゆだねて行けば良いのだと導かれ、森岡さんは1983年12月のクリスマスに久遠キリスト教会で受洗しました。
 「一切の責任は神様に取っていただくのです。自分で頑張らなくて良いのです。神様にやっていただくのです。だから、神様と出会って救われて、本当に楽になりました」と森岡さんは言います。神さまに委ねることで、悩み、苦しみ、悲しみなどから早く立ち上がれるようになりました。「今でもイメージが決まらず、構図が決まらず描けない時もありますが、主がいつも私と共に居てくださり、イエス様が私の為に描けるようにとりなしていてくださっている、準備してくださっていると思っています。また、描けない時は、忍耐を学んでいるのだと思えるようになりました。私は、この世の画廊の専属作家ではなく、キリストの専属作家として歩んで行ければと願っています。会場でそれらの作品を説明することでキリストの福音の素晴らしさをお話ししています。神様にまだ出会っていない方々が、神様を知るきっかけになればと願っています」と森岡さんは語ります。
 かつては、この世的な成功ゆえに、自分に頼り切れずに苦しんでいた森岡さんですが、今は、人の魂を救う神の御業が現われること期待し、苦難もそのための準備期間だと受け止め、御心が自分の内面に行われることを喜んでおられます。

D.結び

 先に苦難が待っていようとも、人の魂を救う神さまの御業が現われることに委ねて進みましょう。私たちには、この世的な繁栄ゆえではなく、御心が私たちの内に行われることで喜ぶ時が必ず訪れるのです。御翼2011年月号その2より

 
  
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